言葉は麻薬〈レポート〉©洪 経世

俺は万能なんか信じない

※これは文芸ではなくレポートです。文芸とレポートの違いは、文芸は娯楽なので空想を含めても問題はなく(100%空想でも問題はない)文体を美しく装飾する事も求められますが、レポートは娯楽ではなく、事実を報告する事のみが目的となります。レポートでは文章の醜さは問題ではありません。

■レポート:言葉の麻薬性について

■報告者:洪 経世

■報告日:2023年7月4日 火曜日

言葉は「真実の影」と言えるもので、言葉自体が真実ではないんですが、言葉を多く使い過ぎると、言葉の方が真実で(いわゆるイデア)言葉以外の方が真実の影だと、全く逆の錯覚を覚える場合があります。その錯覚を「自分の精神の格が上がった」(いわゆる悟り)と勘違いする人達がいて、その勘違いをしてしまうと、その錯覚の世界に引きずり込まれます。「言語依存症」と言えるような状態になるんですが、その状態は薬物依存症に酷似しています。自力でその錯覚の世界(素晴らしい言葉の世界)から抜け出す事は不可能です。言葉で言葉を破壊する事は不可能だからです。言葉は精神を完全に破壊してしまうほど極めて危険なものです(自分がいる事さえ分からなくなる)。しかし、量と濃度にさえ気を付ければ、医療で使う薬物のように、極めて有益なものになります。その証拠が文明です。文明は言葉が無ければ建設できません。言語依存症と言える状態は、識字率が低かった時代は、極一部の人だけの問題で、一般的には無視しても問題はなかったと思いますが、今の時代のように識字率が異常に高いと、一般的にも無視できる問題ではないのかも知れません。