現在の世界の本当の問題とは©洪 経世

それは核戦争の危険でも自然破壊でもなく(それらも大問題なのは本当ですが)「独我論」を信じてしまう生活環境になってる事です。独我論とは「自分以外に生命は存在しない」と言う考え方ですが、理論的な考え方が正当化され、非理論的な考え方が完全に否定されれば、独我論が権威を持つようになります。非理論的な考え方を完全に否定すれば必ず独我論に陥ります。独我論を起点に思考の全てが狂いだし、生の意味も死の意味も分からなくなり、基本的な善悪の区別もつかなくなります。そして、独我論に取り付かれた人は、24時間、眠っている時も、非現実的なくらいの孤独感と恐怖感に襲われ続けます。これが、いわゆる「狂気」の始まりです。独我論を否定すれば良いのですが、独我論は一度信じてしまうと、それを否定する事は極めて困難になります。たぶん自力では無理でしょう。今のような科学文明の最大の問題は、本来、精神は破壊される事が無いものなのですが、その破壊されるはずがない精神が、独我論によって破壊されてしまう事です。科学文明を捨てれば、その問題は解消されますが、しかし、現実的に考えれば、それは不可能です。人間は、手に入れた贅沢は絶対に手放さないからです。©洪 経世