武器使用は過剰防衛か?©洪 経世

この議論は「議論に勝つ」ことに集中してしまうと、哲学に陥って、現実には全く通用しない話になるので、そうならないよう注意しながら、警官と容疑者の関係で話をします。小柄で細い婦人警官と、体格のいい男の殺人容疑者と言う事で。体格のいい男の殺人容疑者が、武器は持っていないが、明らかに正気を失ったと思える表情で、ゴリラが襲ってくるように急速に、小柄で細い婦人警官に接近したので、その小柄で細い婦人警官は命の危険を感じ発砲した。容疑者は心臓に弾丸が当たり出血多量で死亡した。これは正当防衛か?過剰防衛か?司法では法律を踏まえた多数決のような判断になると思いますが、「心臓ではなく脚を撃てば済むことだから過剰防衛だ」と思う人がいると思います。しかしそれは、たぶん通用しないと思います。理由は、アメリカの警察の、教官だったか、昔、日本のテレビのインタビューに答えていて、「拳銃を撃つ場合は必ず相手の胴体の中心を狙って撃つ」と断言していました。脚を狙って撃って当たる訳が無いそうです。アメリカの警察は「PoliceActivity」と言う動画チャンネルを持っていて、その発砲シーンを見ると、確かにアメリカの警官はそうしてます。アメリカでも容疑者を射殺すると大問題です。それどころか地面に伏せてる容疑者に警官がアメリカンキック(WWEキック)をしただけで大問題になるので、PoliceActivityの動画とアメリカの司法判断は日本でも大いに参考になると思います。容疑者の脚を撃つ話ですが、脚を狙って撃って命中したとしても、PoliceActivityの動画にもありますが、ゴリラ化した男は脚を撃たれた程度では止まりません。人を無力化する確実な方法は、貧血で気を失わせる事です。心臓に当たれば急激に血圧が下がって、すぐに貧血で気を失うはずです。だから小柄で細い婦人警官が、脚ではなく胴体の中心を狙って発砲した事自体は、正常と言えます。「発砲する事自体が過剰防衛だ」と思う人もいると思いますが、「体格のいい男の殺人容疑者が、ゴリラが襲ってくるように急速に接近して来た」と言う事と、婦人警官は「小柄で細い」と言う事を考慮すれば、装備を付けて体が重くなってる婦人警官が、逃げて逃げ切れるとは思えず、そうなると、発砲も妥当ではないか、となって来ると思うんですよね。司法は法律を踏まえて判断するんでしょうけど、その法律の中には、放送法第64条のように違法な法律も存在します(放送法第64条は契約の自由を侵害している)。司法がその法律の違法性に気付かず、その違法な法律をそのまま判決に適用してしまうと、悲劇が起こります。違法な法律が存在しないかの確認は常にしておくべきでしょうね。それで、婦人警官がやった事は正当防衛なのか過剰防衛なのかの答えですが、それは司法に決定権があるので、私も答えを知らないんですが、たぶん正当防衛だと思うけどなぁ。©洪 経世